集中

今日は、仕事にとても集中できた。

集中するにもコツがいるので、大事だと思われるTipsをメモ書きしておく。

 

前提

(カーライルを引用して)一番汝に近い義務をやれ。そういう実際のこととなると、何でもつまらぬと思うかも知らぬが、それがすなわち理想に達する経路である。 

新渡戸稲造

 

ここでいう集中力の定義は

 

今その瞬間のタスクをこなすことのみに意識が向いていること。

 

ということにする。集中すると、心地よい緊張とともに目の前のタスクがこぎみよいテンポで完了していく。心が軽く、疲れが気持ちよい。結果的に、価値のあるアウトプットが勝手に生まれてくるから、気持ちよく次の日を迎えられる。

 

Tips

1. そのタスクの遂行のみに意識を向ける。

今回の集中力の定義そのものだが、まずは何も考えずにこれだけ意識してやってみるといい。それでタスクが進んでいけば、もう何も考える必要はない。そのまま、前に進めばいい。

 

2. 呼吸を整える

本当に集中できているときには、本当に目の前の一つのタスク以外の余計な雑念なく、呼吸は整っている。無駄に脳を使わないため、糖分の消費はゆっくりで、頭は涼しく、心は熱く、体はリラックスしている。その第一歩は、呼吸を整えることから。

 

3. スイッチのONとOFF

集中は長時間は続かない。だから、OFFの時間を作らないといけない。タスクは細かく分割する。一つのタスクが終わるごとに、パソコンや机の上を一旦ゼロにする。水を飲んだりトイレに行ったりして、積極的にOFFの時間を作る。そして、ONにする時間に集中のピークがいくように、少しずつ気分を高めていく。

 

「あらゆるところで僕はスイッチを入れたい。ヒットを打って一塁に出ます。それで、ここのエルボーパッドをまず外します。もう一個やることがあるんです。バッティンググラブのマジックテープの部分があるのですが、これをいったん外します。それで、もう1回付けるんです。それはなぜかと言うと、今打つことに集中してきた、それで塁に出た。次、走塁しなきゃいけないんです。そのバッティングから走塁に切り替わる、そのスイッチなんです。いったん外して付ける行為が」 イチロー

 

4. 机に座る

集中できないと思ったら、なおのこと前に進もうとしてみる。まず机に座り、手を動かせるタスクをこなしてみる。やれることはまだあるはずだ。

 

5. 歩みを止めないようにする。

集中にも慣性の法則がある。できるだけ、前に進もうと努力をする。どうしてもできないときには、よく知っている誰かに相談する。自分だけでなぜできないのか、という問いの仕方をすると、なかなか答えが出ず、反復思考した結果、何も生み出せないことが多い。できないときこそ、なおのこと頭と手足を動かして、いろんな方面からおかれた状況を俯瞰するようにする。

 

4. 予定を立てることに時間を使う

集中とは、今のタスクに集中することである。次に何をすべきか、をタスクをやりながら考えない。そのために、予定を立てることに集中する時間を作る。一週間に1日1時間くらいは、予定を立てることに使いたい。

 

5. 自分の行動を振り返ることに時間を使う

フィードバックはどんなときにも大切である。これも一週間に一時間は時間を使いたい。

 

6. できるだけシンプルにする

脳のリソースを完全にそのタスクの遂行のみに割けるのが理想である。そのタスク以外のことを考ない仕組みを作るのはもちろん、タスク自体も極力シンプルに設計するようにする。机の上、パソコン、予定はすべてシンプルにする。そのタスクをより良いものに仕上げるために、リソースを集中する対象に割り当てる。不必要なものを切り捨てる勇気を持つ。

 

集中とは、真に意味のあることは何か、最も重要なことは何か、という観点から時間と仕事について自ら意思決定する勇気のことである。 ドラッカー

 

7. やることを決めるときには

理想主義をいとわない。合理的な楽観主義でやることを考える。困難に対しては楽しむ勇気を。自分を抑圧する言葉は、とても無駄。それをすることだけを考えればよく、それで充分である。「なぜできないのか」「人の方がすごい」「もっとやればよかった」「あとでやろう」などの言葉は本当にしょうもない。馬鹿な事言ってないで、目の前のことに集中する。

 

 

腹中有書

腹中有書

2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生の著書「人をつくる言葉」[1]で紹介されている安岡正篤氏の言葉の墨跡書に書かれていた言葉だそうです。大村先生は言葉の意味を

言葉や知識は肚の中に収めてこそ初めて行動の規範となる

と理解し強く共鳴した、と紹介しています。先生はさっそく「腹中有書」と名付けた備忘録をつくり、感銘を受けた言葉や自分の中に思い浮かんだ言葉を書き留めていったそうです。

 

大村先生の著書のタイトルの通り、言葉は人をつくります。努力し困難を乗り越え学び成長する過程で心に響いた言葉は、一生の財産です。そんな言葉を忘れるのはもったいない。本記事では、私の腹中有書を備忘録として残しておきたいと思います。

英語

"I have been working with many reserchers from different countries. In my experiences, you cannot become an  excellent English speaker without a great effort even if the program offer English academic environment. You should PUT an effort on speaking English so that you can become a scientist who have the academic ability needet to excel in your chosen area of study"

ロンドンのEMBLでチームリーダーをされていた私のメンターに言われた言葉です。望まれるのは、研究者同士のディスカッションが十分にできる、国際会議で講演できる、大学の講義を英語で問題なくできるレベル。これくらいはできるようになっておきたいと思い勉強しています。

自分を信じる、自分で考える、自分で手を動かす

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary. 

ティージョブズ(Steve jobs)のスタンフォードでのスピーチより引用です。

ティージョブズの徹底的な自己

自分で考えたこと以外話すな 不明

受け売りの知識だけを援用して考えたり、話したりせず、極力自分で考えよう。と私なりに勝手に解釈しています。全く他人の意見を参考にするな、というわけではないですがこれくらいの心持ちでいたい、と思わせる言葉です。

人の言うことは半分聞け あとは自分で考えて行動に移せ
おそらくうまく行かない しかしそこに独創性が生まれる

書いていて思い出したのですが、大村先生の言葉[1]にも、素晴らしいお言葉があったので引用します。

 

(学生として)入学したときの主観的な(必ずしも論理的でない、好奇心や気持ち的なところからくる)感性や視点を忘れないで

大学にいらした学生みんなのなんでも相談窓口のような立場で働かれていた学生課のスタッフの方の言葉

 

職人

手を動かす。

知的トレーニングの方法

 

労働規範

クリエイティビティ>プロダクティビティ>ハードワーク

 お世話になった教授の方に卒業時にいただいたお言葉

 

仕事の流儀

直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍[2]

伊丹 敬之氏の本のタイトル。たった15字で研究者の仕事を示してくれています。

 

 

 

趣味

被収容者の内面が深まると、たまに芸術や自然に接することが強烈な経験となった。この経験は、世界やしんそこ恐怖すべき状況を忘れさせてあまりあるほど圧倒的だった。

ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」より。美しいものに触れる、力強いものに触れる、偉大なものに触れる。極限に生きるほど、強烈な体験となる。

 

幸せ

本当においしいものは、筋トレした後のコーラ

尊敬する友人の言葉。もっとたくさん彼の言葉を紹介したいが、全部忘れた。彼は、中学、高校時代の友人で船乗りをしている。彼は強さに対する彼独特の自力本願の哲学をもち、常に体を鍛え、武術を学び、最強になることに命を懸けている。

彼は本を読まず、他人に媚びない。というか人の意見を聞かない。だから彼が口にする言葉は、常に彼の経験のみに基づいた素朴さをもっている。周りからすればヘンな奴なので、みな笑って彼の話を聞くのだが、彼の何気ないひとことのなかに、ある現象の本質を見ることがある。そんな魅力的な男なのである。

人生の意味

仕事に真価を発揮できる行動的な生や、安逸な生や、美や芸術や自然をたっぷりと味わう機会に恵まれた生だけに意味があるのではないからだ。そうではなく、強制収容所での生のような、仕事に真価を発揮する機会も、体験に値すべきことを体験する機会も皆無の生にも、意味はあるのだ。

ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」より。人生に意味のないことはない、と誰かが言っていて、功利的だけど便利な考え方だな、と思ったので受け入れてる考え方。人生の意味は、あるといえばあるし、ないといえばない、とどちらでもいえる、曖昧な問いだと思うので、死ぬ間際くらいまでは考えないようにしたい。

 

 

心が風邪をひいてしまった時に

 

自分の無力さを痛感した場合

 

夜眠れない、朝起きれない、生活リズムが崩れたとき

3日間10時に寝ましょう[4]

朝起きようと思っても起きれないんですよね、という方へ。朝起きれない人に最も勧めたい言葉。千葉大の斎藤先生の研究室HPの教授より、というページに記されていたTip。

 

周りと比較してしまうとき

中島敦 悟浄出世[5]より

 

十分に休息をとって次に進むとき

I am not concerned that you have fallen -- I am concerned that you arise.

私は、あなたが落ち込んだことを気にかけているのでなく、あなたが立ち上がることに関心があるのです。

リンカーンの言葉。もし、長期で休息をとったとして。悲しいですが周りの目は確かに変わるかもしれません。でも過去は過去。その経験から何を学ぶか、どう成長したか、これからどうするのか、ということに目を向けられる日まで、誠実にやるべきことをやり続けたいと思います。

 

[1]大村智(2016) 人をつくる言葉 毎日新聞出版インプレス

[2]伊丹 敬之(2020) 直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍―経営の知的思考 東洋経済新報社

[4]斉藤 和季 千葉大学大学院薬学研究院遺伝子資源応用研究室HP 教授より 2020/11/6閲覧

[5]中島敦(1994) 山月記・李陵 他九篇 岩波文庫 

コドン最適化のアルゴリズム

質問

CRISPRのknock-inでPAM配列にサイレント突然変異を入れる際に宿主のコドンを考慮すべき?

 

結論、すべきです。

 

コドン表を見るとわかる通り、コドンは冗長性 Redundancy)はあるが、多義性 (ambiguity) はない。この特徴を縮重 (degeneracy)と呼ぶ。例えば、ロイシンをコードするコドンは6つあり、このコドンはロイシンのみをコードする(多義性については例外あり) [1]

 

この縮重の特徴を利用して、アミノ酸配列を変えずに遺伝子の塩基配列に変異 (サイレント突然変異 (silent mutation))を入れることができます。

 

今回の質問に対する回答は、

 

「宿主のコドンの出現頻度(codon usage)が低すぎず、かつ、できるだけ多く変異を入れること」です。

 

よく使われるコドンとそうでないコドン(レアコドン)があり、その出現頻度(codon usage)は生物種によって異なります。生物種ごとのコドン出現頻度のデータベースは、かずさDNA研究所より公開されています。Codon Usage Database[2] 

 

コドン最適化について

コドン最適化は、人工遺伝子を合成する際に、異種由来のタンパク質を宿主で効率よく発現させるために、宿主の転写翻訳に最適なサイレント突然変異を入れることを指します。

 

例えば、大腸菌にヒト由来のタンパク質を大量発現させたい場合などに、遺伝子合成を外注するのですが、その際に発注先のツールなどを用いてヒト由来のタンパク質に大腸菌が発現しやすいような変異を加えたものを発注します。

 

Thermofisher社のコドン最適化ツールのページでは、コドン使用頻度を考慮する場合としない場合で、100倍の発現量の差が出るといった例が紹介されています[3]。うまくいった例しか示されてない、N数が少ないといった出版バイアスはかかっていると考えられ、すべての遺伝子に対して最適に働くかのかはわかりませんが、もし遺伝子発現を上げたいのであれば最適化はすべきでしょう。

コドン最適化アルゴリズム

このアルゴリズムの詳細は企業秘密で詳しく明かされていませんが、今日探せた限りの情報をまとめておきます。

 

Thermofisherのアルゴリズム[3]は、

 

とあります。あまり具体的ではありませんね。


Integrated DNA technologies [4]では、もう少し詳細に記述がありました。この会社では、宿主における同じアミノ酸をコードするコドンの出現頻度が10%以下だと除去し、残りのコドンを再正規化して宿主の出現頻度に合わせるようなアルゴリズム (codon sampling strategy)を使っているようです。

 

コドン最適化によってタンパク質の発現量がどの程度増加するかの予測はまだできません(誰か機械学習でやってほしいです)。

 

特定のタンパク質や宿主の生物種、tRNAコピー、mRNAの安定性、タンパク質の折りたたみ速度、タンパク質の安定性、タンパク質の輸送、発現細胞環境におけるタンパク質の毒性など、さまざまな要因に影響されます。そのため、どのような最適化も、実験による検証が必要となります[4]。

 

以上、コドン最適化アルゴリズムの技術メモでした。コドンの冗長性、コドン表の例外、コドンと生命の起源との関係、遺伝暗号表解読の歴史的背景など、またどこかでまとめます。

[1]Genetic code - Wikipedia

[2]Codon Usage Database

[3]多様なパラメータで遺伝子を最適化する GeneArt® GeneOptimizer® | Thermo Fisher Scientific - JP

[4]Benefits of codon optimization